情報セキュリティマネジメント試験 用語辞典
日本でも「電子政府推奨暗号リスト」に掲載されるほか、無線LANの暗号化規格WPA2の暗号化方式としても採用されている。
- 分野:
- 情報セキュリティ » 暗号技術
- 重要度:
(Wikipedia Advanced Encryption Standardより)
Advanced Encryption Standard (AES:高度暗号化標準) はアメリカ合衆国の新暗号規格として規格化された共通鍵暗号方式である。1977年に発行された暗号規格DESの安全性が技術進歩により低下したため、新たな暗号方式の公募を行い、2001年3月に FIPS PUB 197 として公表され、米軍主導のネットワーク秘匿化オープンソースプロジェクトであるTorなどに採用された。
概要
AESはSPN構造のブロック暗号で、ブロック長は128ビット、鍵長は128ビット・192ビット・256ビットの3つが利用できる。AESの元となった Rijndael では、ブロック長と鍵長が可変で、128ビットから256ビットまでの32ビットの倍数が選べる。NISTが公募した際のスペックに従い、米国標準となったAESではブロック長は128ビットに固定、鍵長も3種類に限られた。
経緯
旧規格 DES (FIPS 46) の安全性が低下したため、1997年9月にNIST(アメリカ国立標準技術研究所)が後継の暗号標準AES (Advanced Encryption Standard) とすべく共通鍵ブロック暗号を公募した。世界から応募された21方式から、公募要件を満たした15方式に対する評価が行われ、安全性と実装性能に優れた5方式が最終候補として残った。最終選考の結果、あらゆる実装条件で優れた実装性能を発揮したベルギーのルーヴェン・カトリック大学の研究者 (Joan Daemen) と フィンセント・ライメン (Vincent Rijmen) が設計した Rijndael (ラインダール)が2000年10月に採用された。Rijndaelという名称のうち、RijnはRijmen、daeはDaemenから取られたことは明白だが、lはどこから来たのかが不明だった。指導教授だったバート・プレネル (Bart Preneel) から取ったのではという説があり、Rijmenが講演した際に質問を受けたが、その答えは "It's a conjecture.(それは憶測に過ぎないね)" だった。
他の最終候補および設計者は以下の通りである。
- Serpent(サーペント、または、サーパン)- ロス・アンダーソン、エリ・ビーハム、ラーズ・ヌードセン
- RC6 - ロナルド・リヴェスト、マット・ロブショー、レイ・シドニー、イーチュン・リサ・イン
- Twofish - ブルース・シュナイアー、ジョン・ケルシー、ダグ・ホワイティング、デーヴィッド・ワグナー、クリス・ホール、ニールス・ファーガソン
- Mars - カロリン・バーウィック、ドン・カッパースミス、エドワード・ダヴィニョン、ロザリオ・ジェンナロ、シャイ・ハレヴィ、チャランジット・ジュトラ、ステファン・マテリアス Jr.、ルーク・オコーナー、モハンマド・ペイラヴィアン、デヴィド・サフォード、ネヴェンコ・ズニコフ
安全性
関連鍵攻撃により、256ビットのAES暗号の9ラウンド目までを解読可能である。また、選択平文攻撃により、192ビットおよび256ビットのAES暗号の8ラウンド目まで、128ビットのAES暗号の7ラウンド目までを解読可能である (Ferguson et al, 2000)。シュナイアーはAESの「代数的単純さに疑問」を感じているが、AESは欧州の暗号規格NESSIEや日本の暗号規格CRYPTRECでも採用された。AESの数学的構造は他のブロック暗号と異なり、きちんとした記述もある。この暗号はまだどんな攻撃にも通じていないが、何人かの研究者が今後の攻撃はこの構造を利用するかもしれないと指摘している。
出題例
- 128ビット,192ビット,256ビットから選択する。
- 256ビット未満で任意に指定する。
- 暗号化処理単位のブロック長より32ビット長くする。
- 暗号化処理単位のブロック長より32ビット短くする。
正解
- 情報セキュリティの考え方(10)
- 情報セキュリティの重要性(2)
- 脅威(23)
- 脆弱性(2)
- 不正のメカニズム(1)
- 攻撃者の種類(3)
- 攻撃の動機(1)
- サイバー攻撃手法(38)
- 暗号技術(11)
- 認証技術(5)
- 利用者認証(8)
- 生体認証技術(3)
- 公開鍵基盤(6)
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